公共工事の削減・凍結、設備投資の冷え込み、住宅着工件数の減少、金融の引き締め、建設資材の高騰、海外事業の採算性悪化など、厳しい経営環境は今後も続くものと考えられます。公共工事を中心としたビジネスモデルは破綻し、民間需要の掘り起こしを中心とする新たなビジネスモデルの構築が急務です。
収益性の低さも克服すべき課題であり、高い利益率が見込める公共工事が減った今、収益性を改善する新たなアプローチが必要です。ビル解体、APCコンクリート、防虫、防災シミュレーション、電力制御システム、土壌処理等、新技術を軸とした高付加価値を創出するために、合従連衡や業界再編が加速すると考えられます。
地方の中小企業においては、業界再編と公共工事削減の影響はより顕著であり、キャッシュマネジメントを追求することと、リフォーム事業等の成長市場へのフォーカスの重要性が高まっています。また、収益性の改善のためには、採算を度外視した受注至上主義から脱却して、不払いや支払遅延にまつわるトラブルを未然に回避することと、個別工事ごとのプロジェクトマネジメントを徹底して利益を確保することが求められます。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
2009年の金融危機以降、この業界は不振に陥ったまま厳しい状況が続いています。好況期に計画された都心再開発事業は見直しや撤回を迫られています。また郊外型アウトレットモールやGMSなどの複合型商業施設の開発も急ブレーキがかかっています。新興企業や中堅クラスの経営破綻が相次ぎ、財務体質の悪化に顧慮しています。
一方、消費意欲の冷え込みにより不動産取得を控える動きも目立ち始め、マンションの販売戸数・販売価格も下落傾向にあり、資材価格の高騰や土地を高値で仕入れていたことと相まって収益性は一気に悪化、在庫処分もままならず先行きは依然不透明です。
今後の課題は、CMBS(商業用不動産担保証券)の償還に備えたリファイナンス、マンション在庫の早期処分等、財務体質の改善に関するキャッシュマネジメント戦略が中心となります。官・民ファンドの資金供給を取り付ける一方、高価格帯マンションの戦略的プライシングや、CRE戦略のコンサルティング等の新規事業に取り組み、経営の安定化を図ることが急務です。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
企業にとって不動産は必要不可欠で最大限に活用すべき経営資本です。2008年3月に国土交通省より公表された「CRE戦略を実践するためのガイドライン(案)}及び手引き(案}」にあるように、企業価値向上を目的として不動産への投資効率を最大化させるという見地から取り組むことが求められます。短期的な収益改善に貢献するコストダウン効果は勿論ですが、不動産時価会計への対応やIFRS(国際会計基準)のアドプション問題への対応の面からも、企業価値向上にフォーカスすることが肝要です。
CRE戦略は、中小企業にとってより重要なものです。活用の目途が立たない遊休地や、稼働率が低く老朽化した物件、環境対応に迫られている施設等をそのまま保有すべきか、売却すべきか、有効活用のために再投資すべきか、新規事業のために新たな不動産を購入すべきか、賃貸すべきか等を検討することは、経営への大きなインパクトとなります。リスクを極力排除するためにフィージビリティスタディを行ったうえで、戦略的に取り組むべきと考えます。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
消費の落ち込みと少子化の進展に伴う市場規模の縮小という構造的な問題を抱え、この業界は厳しい状況にあります。住宅業界では、改正建築基準法施行、金融危機、消費低迷の影響により新設住宅着工件数が減少しています。住宅設備業界でも、新設住宅着工件数の減少に加え、原材料費の高騰、円高による輸出の減少などが収益性の悪化に拍車をかけています。
競争優位を確立するためのキーワードは、消費者の高付加価値ニーズへの対応です。オール電化や環境性能などの省エネルギー機能や、耐震・耐火機能、セキュリティ機能などに消費者の関心が集まっているうえ、長期優良住宅が優遇される住宅ローン減税が2009年4月から開始され、政策的なバックアップも消費の底上げを支援しています。
少子化に伴う市場規模の縮小問題を乗り切るためには、従来の事業構造を見直し、オール電化、太陽光発電、バリアフリー等の高付加価値を低価格で提供できるビジネスモデルへと転換すると同時に、収益性を改善させるための成長戦略が必要になります。また、M&Aやアライアンスが活発化し、グループ再編を伴う競争の激化も予測されるため、ポジショニングを再設定し、差別化戦略を強化することが重要です。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
公共投資の減少や地方自治体の単独事業費の予算削減、民間設備投資の減少、原材料価格の高騰など、この業界も厳しい状況が続いています。多くの企業が減収減益に喘ぎ、もともと収益性が低い傾向にある業界なのに、更なる下落傾向が見られ、体力勝負に耐えられない中小規模の業者は市場からの退場を迫られます。
状況リカバリーのためには、民間需要の掘り起こしと収益性の改善が急務です。公共工事の受注が見込めない以上、自ら新規の民間需要を取り込むことが必要であり、新技術やインターネットを活用したマーケティングに乗り出す企業も増えています。
万能掘削シールドなどの高付加価値工事で工期短縮と安全確保を両立したり、系列を超えた受注活動を行うなどの売上向上施策を講じることと、サプライチェーンの最適化による原材料費マネジメント、個別プロジェクトマネジメントの徹底などによって、収益性改善につなげることが生き残りのポイントです。R&D、マーケティング、キャッシュマネジメントを見直し、新たなビジネスモデル構築が雌雄を決します。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】