医療とはビジネスであると同時に社会の公器でもあります。それが今、経営の危機に直面しています。平成22年度の診療報酬制度改定では10年ぶりに重点項目のプラス改定にはなりましたが、中小病院や診療所等にとっては再診療料金の引き下げ等、むしろマイナスに作用する内容でもあります。もともと財務面の体力に劣る経営主体にとっては、まさに正念場となるでしょう。
少子・高齢化に伴う医療費の高騰と保険財政の悪化を改善するために行われた医療法改正、医療法人制度改革、医療・介護保険制度の見直し等が奏功するかは不透明であり、経営主体には今後の経営環境の変化にも対応しうる経営管理体制強化が必須です。
また、異業種と外資の新規参入により競争は激化しており、経営の舵取りはさらに困難になっています。収益の圧迫要因が今後ますます増えていく中、「診療実績に基づく競争」を戦略に落とし込み、成長の中核に据えることが求められます。中小規模の医療機関に関しては、地域医療における自病医院のポジショニングを明確化するとともに、高度専門化、亜急性期医療、看取りを含めた高齢者の社会的入院、介護・福祉との連携などの課題への対策策定が急務です。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
高齢社会の進展により、要介護認定者は2025年には700万人超まで増え、介護保険給付額も年率4%前後伸び続けるとの予測があるなど、市場規模の拡大は続き、この業界の将来性は非常に見込まれています。
慢性的な人手不足がこの業界の課題ですが、それを解消するため、職員の待遇改善を目的とした介護報酬の引き上げが行われました。現場での介護職員への報酬にフィードバックされるまでには、未だ課題は山積していますが、これが奏功し人材確保が進めば、今後の成長が加速すると考えます。
事業者間の競争が激化している中で差別化を図るには、高齢者専用賃貸住宅事業への進出、保険外サービスの拡充、M&Aによる事業規模拡大、優良な介護職員の確保などに関する戦略が重要です。また、オペレーション効率を向上してコスト削減を徹底することによる収益性の改善は欠かせず、介護保険制度の改正によるインパクトを極小化できるビジネスモデルを構築することが肝要です。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】
医療費高騰の抑制や国民の健康増進を推進する必要に迫られた医療行政は、これまでの「医療機関における治療医療」中心から、「予防医療と自宅での介護医療」へと方針を転換しました。高齢化の進展に伴い、今後も消費者のニーズは増加するものと考えられ、サプライヤーにとって非常に魅力的な市場が形成されつつあります。
グローバルリーダーの外資系企業も参入する激しい競争環境において、互いの強みを補完しうるM&A・アライアンス戦略、差別化戦略等の基本戦略レベルと、研究開発の生産性の向上等のオペレーションレベルの改革・改善が問われます。
また、バイオビジネス市場が成長しています。ヒトの免疫機能を活用した「抗体医薬」、遺伝子の断片を使った「核酸医薬」、細胞を使った「細胞医薬」などの分野が注目されており、この分野における有力なバイオベンチャーへの投資、M&A、アライアンス提携などが活発に行われています。ベンチャーにとってはビッグビジネスのチャンスであり、IPOのチャンスも大きく開けています。
【対象業種】
【コンサルティングテーマ】